『燃費の悪い生き方をやめて、自分を取り戻すまで』#2

こんにちは。
心理カウンセラーの関 香澄です。
こちらをご覧くださり、どうもありがとうございます。

―「負けず嫌いでエネルギーに溢れた人」。すべてを失った日―

前回の「彼」が直面した現実

朝、体が鉛のように重くて起き上がれない。 昨日まで当たり前にできていた仕事ができない。

布団から起き上がることさえままならない――。

前回のブログでは、積み上げた地位も、信用も、家庭での居場所も……。

「頑張れば報われる」と信じてアクセルを踏み続けた結果、彼が人生のすべてを失ってしまったお話をしました。

彼は仕事も地位も手に入れ、完璧な毎日を送っているはずでした。 ですが、その『強さ』の裏側で、彼の心は音を立てて崩れてしまいました。


かつての彼は、「俺に任せればいい」と、人一倍強い負けず嫌いな根性を持っていました。

強気な姿勢で現場を飛び回り、持ち前の行動力で次々と成果を形にしていく……。

まさに、怖いもの知らずの勢いでエネルギーに溢れた人だったのです。

その「向かうところ敵なし」の熱量は、周囲を圧倒するほどでした。 そんな彼が、なぜ壊れてしまったのでしょうか。

なぜ彼は壊れてしまったのか?(燃費の悪い生き方)

彼を追い詰めたのは、仕事の量そのものではありませんでした。 それは、「弱音を吐いてはいけない」

「完璧でなければならない」という心のブレーキを強く踏みながら、同時にアクセルを全開にしていた『燃費の悪い生き方』です。


体が「もう無理だよ」とSOSを出していても、彼はその声を無視し続けました。

「自分が頑張ればいい」「俺ならできる」 その優しさと責任感が、皮肉にも彼自身を壊してしまったのです。

鉛のような体で横たわっていた彼が、どうやって再び光を見つけることができたのか。

その鍵は、意外なほどシンプルなことでした。

突然の電話。変わり果てた「声」の正体

そんな彼と疎遠になって数年が経ったある日、一本の電話がかかってきました。

「久しぶり、元気だった? 連絡したかったんだけど、気がつけば3年経ってしまったよ」

間違いなく彼の声でした。けれど、かつてのハリはなく、絞り出すような苦しそうなトーン。

「今はうつ病で療養している」という短い説明に、私は何一つ言葉を返せませんでした。

それからさらに3年。再び彼から連絡が来たとき、私は耳を疑いました。

現在は離婚し、一人で生活保護を受けながらデイケア(通所リハビリ)に通う日々。

そこにいたのは、かつての勢いがあった彼とはまさに別人の姿でした。

「たかが天気」に怯える、悲痛な叫び

電話の中で、彼は震える声で言いました。 「今度、デイケアでバーベキューがあるんだ。

でも天気が心配で……もし雨で中止になったらと思うと、不安で落ち着かないんだよ」

かつてどんな困難もねじ伏せてきた彼が、今は「雨」という、自分の力ではどうにもできないことに怯え、翻弄されている。 その姿に、私は胸を強く締め付けられました。

彼にとってその行事は、社会と繋がれる「唯一の、最後の糸」だったのです。

震える声で漏らした「孤独」という本音

「……寂しくて、寂しくて……孤独に押しつぶされそうな毎日が、もうたまらなく辛いんだ」

そう言った瞬間、彼は言葉を詰まらせました。 かつての不敵な彼からは想像もできない、あまりに弱々しく、切実な告白。これが今の彼の本心なのだと。

その時、私の心の中では、激しい怒りにも似た感情が渦巻いていました。

なぜ、そこまでいく前に……

なぜ、そこまでいく前にどうにかならなかったのか!」
「なぜ、もっと早く立ち止まれなかったのか!」

喉元まで出かかった叫びを、私は必死に飲み込みました。 目の前にいる彼は、プライドも自信も、生きる気力さえも削り取られてしまった、変わり果てた彼の姿
だったからです。

最後に

今、無理をして走り続けているあなたに伝えたいことがあります。

離れること、立ち止まることは、決して「逃げ」ではありません。

自分の心を守り、人生の距離を取り戻すための、勇気ある選択なのです。

どうか、彼のようにすべてを失う前に。
あなたの本当の心の声に、
耳を傾けてあげてください。

そしてこの記事があなたの心に届くことを願っています。

最後までお読みいただきどうもありがとうございました。

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